2011/04/07

今月も赤字で終わったらこの式場に火をつけ、

あっさりこめかみを打ち抜いて死のうと男は決めていた。

結婚式場の支配人である男は、もう何人も従業員を解雇した。

彼ら彼女らにも家庭があり、暮らしがあったのだ。

いくつかの人生を狂わせてしまっただろうと思う。

自分が死ぬことによってそれが免罪符になるとは思わない。

でもどうしようもなかったんだなということは伝わるかもしれない。

銃を点検し、引出しにしまう。

その時、ノックもなしに従業員が入ってきた。

「新郎が逃げました」

シンロウガニゲマシタ

その言葉を理解し、状況を把握する。

神の無慈悲さを呪う。

今日行われている結婚式の代金はまだもらってない。

その代金にはこの式場の経営と自分の命がかかっている。

この結婚式を失敗に終わらせるわけにはいかない。

式場を飛び出し、男は走る。

角を曲がると、遠くに新郎が見えた。白いスーツが小さく見える。

日頃の運動不足がたたってか、足はもつれ、息は切れる。

でも逃がしてしまうわけにはいかない。

立ち止り、汗をぬぐう。

深呼吸をし、男は走った。

(つづく予定)

7 件のコメント:

  1. あれ!?2は?

    ストーリーが後からつながっていく仕様か!

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  2. これから2が出てくるとおもいます。(きのした)

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  3. スターウォーズ方式だね。

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  4. 気になりまくりなんですけど。

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  5. どうなるやら(きのした)

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  6. 点と点が線になって線が重なって面になってそれから立体的になって最終的には四次元レベルを期待します。ごめんなさい、嘘です。

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  7. エイプリルフールじゃあるまいし。

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