まともな小学六年生だった僕はよく山に登った。
土日祝日には10人ぐらい集まって意味もなく頂上まで歩くという行為を繰り返した。
山登りに対する僕らのめりこみ方たるや、ほぼ狂気に近いものだった。
登山道の入り口付近には小さな廃工場がある。
まともな小学六年生だった僕らはそこで誰が好きだとか誰が好きだとかそういうことばかり話していた。(それは今でもあまり変わらない。)
そろそろ登るかという時に1人の友人が「写ルンです」を取り出し、レンズを僕らひとりひとりに向けた。
修学旅行で使いきれなくてさとパシャパシャ撮っていた。
その次の週の金曜日だったように思う。
教室に入ると友人たちが僕の席の前で輪になっていた。
そしておはようもなしにこう言った。
「おまえの写真だけ霊が写ってるよ。」
廃工場の窓を背に僕ひとりが写っている写真だった。
その窓の右隅に顔があった。白い顔が。
それ以来僕らは山を去り、その山には近寄らなくなった。
「おまえの写真だけ霊が写ってるよ。」
今でも写真を撮られるたびにその言葉を思い出す。
写ルンですには写るんですね。
きのぴーって、いつも2人で歩いてるよね。
返信削除ぎゃーーーーーーーー(きのした)
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