唐突だった。
「おっ!久しぶりー!」
ホームで電車を待っている時。
カーキのジャケットに身を包んだ男性に声を掛けられた。
(え、誰だ。君は。どこかで見たことはある。多分、高校の時の知り合いだ。多分。)
とりあえずここは話を合わせよう。
『おっ、おっ、おう!』
内心の動揺を悟られないように、余裕のある対応を。できていない。
ちょうどそのタイミングでホームに電車が入って来たので、ふたりで乗りこむ。
「久しぶりだね。最近どうよ」と、彼。
『おう、まぁまぁだよ。何とか社会人で頑張ってるよ』 と、僕。
可もなく不可もなくの答えで凌ぐ。
彼は仮面浪人をしていたらしく、まだ大学生らしい。
日頃鍛えたその場しのぎ相槌で対応。
電車がじょじょにスピードを落としていく。
目的の駅にすべりこんでいく。
「ところで、今からどこいくの?」と、彼に聞かれる。
『駅の近くにあるスポーツジムだよ』僕が答えると同時に、ドアが開く。
「あー、そこが職場ね、なるほどね」
正直、動揺した。 確かに見た目的にそうだけども。
『あ、いや…』
プシュー…無情にも閉まるドア。 動き出す電車。
ドアの向こうで手を振る彼。 軽くガッツポーズをしている。
あれは間違いない、がんばってねポーズだ。
僕は、スポーツジムの人になってしまった。
その日、ジムのトレーナーさんにやけに目がいってしまった。
あれは彼の中の僕だ。
私服で働いていると、ビジネスマンと思われない。タクシーでも領収書くれないときとかあるし。でも、夏が近づくとスーツじゃなくて良かったと心から思う。そういうところも含め、コピーライターは楽だ。
返信削除ちなみに、僕は高校の後輩達に「竹田さん、会社つくって社長なんですよね」という謎の誤解をされていたことがあります。
たけさん
返信削除コメントあざす。
夏、まじ楽ですよね。最高。
個人事業主だったたけさんは、
社長と間違われても仕方ないと思います。
会う人に、あなたの中の私は、どんな“私が思いがけない 私”がいるんだろぉって思ったら、ちょっとそれを覗いてみたくなりました。
返信削除りりーさん
返信削除わーたしかに。
覗いてみたいし、
聞いてみたいですね。