ピトっと押すとストンと落ちてジョボジョボと注がれる式の自動販売機の前で
珈琲が出来上がるまでプラスチック製の小さな黒い扉をじっと見ながら待っていると、
となりの自動販売機の前で同じように待っていた女性が
「ごくろうさま」と小さな声で言った。
それを聞いて、ああ、この女性は自動ドアや自動で流れるトイレや
全自動洗濯機やATMやエスカレーターやエレベーターにも
ねぎらいの言葉をかけているやさしい人なんだろうな、
日本の女性は美しいな、と思いながら黙ってその場を立ち去ったのだけれど
あれは僕に対して言った言葉だったのではなかろうか
もしそうだとしたら僕はあっさりとひどいことをしてしまったとともに、
ラブストーリーの序章を踏み潰してしまったのではなかろうかと今更気が付き
おちこんだりもしたけれど、僕はげんきです。
隣でつっこんでくれる黒猫でもいればよかったですねー
返信削除そうですね、いつもコメントありがとう、バタ子。
返信削除(きのした)
その時バタ子は、パンを焼いていた。
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